ゾウは地上最大の大きな身体、60年ほど生きる長い寿命にもかかわらず、がんになりにくいそうです。
日本ナショナルジオグラフィックの記事によると、その理由の一つが 「医者のような役割の遺伝子」によるものと判明したそうです。
生物の大きさとガンになる確率が一致しない現象は、「ペトのパラドックス」と呼ばれている。2015年、シフマン氏の研究グループは、このパラドックスにまつわる重要な発見を発表した。彼らが突き止めたのは、ゾウにはガンを抑制するP53という遺伝子が多いということだった。人間の遺伝子には1組しか存在しないP53が、ゾウにはなんと20組も存在していた。
動物の細胞が分裂するとき、P53は遺伝子の良否を診断する医者のような役割を担う。この点は、人間でも、ゾウでも、他の動物でも変わらない。「P53はDNAが破損しているかどうかを見分け、どうするかを決めるのです」と話すのは、米カリフォルニア大学サンタバーバラ校の生物学者、エイミー・ボディ氏だ。軽度な問題を抱えた細胞なら修復できるが、破損の度合いが大きい場合は、細胞がガン化するリスクがあるので、P53はその細胞を殺すよう命じるという。氏も同じく今回の研究には参加していない。
日経ナショナル ジオグラフィック社
ゾウがガンになりにくいのはなぜ? 理由の一つが判明
また、「 傷ついた細胞を抹殺する殺し屋 」の役割を担う遺伝子「LIF6」も存在し、それもがんになりにくい理由の一つではないかとされています。
小さなウサギから巨大なクジラまで、ほとんどの哺乳類にはLIF遺伝子が1組しかない。しかし、ゾウやその親戚、マナティー、ハイラックスなどには、たくさんのLIF遺伝子がある。リンチ氏によれば、ゾウには「数え方によって」7~11組のLIFがあるという。なかでも、傷ついた細胞を殺す役割と関連があるのはLIF6だけのようだ。そして、これまでのところ、LIF6はゾウからしか見つかっていない。
今回の研究によれば、LIF6がゾウの遺伝子に登場したのは、約5900万年前だという。最初、これは役立たずの壊れた遺伝子でしかなかったようだ。しかし、ゾウの先祖が進化するにつれて、この遺伝子も進化し、やがてゾンビのように蘇った。ゾウがガンに悩まされない大きな体を手にすることができたのも、この復活のおかげかもしれない。
日経ナショナル ジオグラフィック社
ゾウがガンになりにくいのはなぜ? 理由の一つが判明
ゾウと人間は同じ哺乳類ですが、見た目・遺伝子の違いは大きいです。がんになりにくいのはなぜか?といったゾウの秘密を解き明かすことで、人間が健康に過ごすヒントが見つかるかもしれません。
われわれ人間は、ゾウについてはまだまだわからないことだらけですね。
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